今回はロケットエンジン設計の第一ステップ、燃料とその供給方式および燃焼室圧の決定に関するお話だよ。
ロケットエンジン設計の第一歩を踏みだそう!

到達目標


今回の記事ではミッションにあったロケットエンジン設計の最初の一歩を解説するから、その流れを理解することが目標だよ。
「こうやってエンジンって設計し始めるんだ。」って思ってもらえればそれでいいよ。
新しい概念とか知識とかいらないから、気楽にね。

ミッションの内容


さて、エンジンの設計に取り掛かる前に、今から作るエンジンで何がしたいのかをはっきりとさせよう。
今回は海抜0mで動作する500N級液体燃料ロケットエンジンを設計するよ。このシリーズ通してね。
ミッション内容としては、「実際に動作する液体燃料ロケットエンジンを製作して、推力を出す。」とするよ。これ自分が作ってるプロトンエンジンのミッションね。

普通は例えば「ホニャララkgのペイロードに云々m/sのΔVを与えて軌道投入するための2段目のエンジン」みたいな感じでミッションが与えられて、この時点で必要な推力だとか、動作環境とか、サイズ感とか積める燃料とかが決定するよ。

まあ技術習得が目標というか、はじめてのロケットエンジン的なあれってことで動作環境(海抜0m)と推力(500N)を設定させてもらったよ。

燃焼室圧の決定


さて、推力と周囲の圧力が決定したら、まずは燃焼室圧を決めよう。
ロケットエンジンを個人で作るにあたっての障壁の一つに金属加工とか材料の強度とかがあるんだけど、まずは一般的な材料で無理なく達成できるような燃焼室圧を決めちゃうのが吉だよ。
実際のロケットエンジンだと燃焼室圧は10MPaとからしいんだけど、個人ではそれに耐えれるだけのエンジンを設計、加工するのは難しいし、それに耐えうる配管とか色々ハードルが高い。
というわけで今回は燃焼室圧として2MPaという値を採用しよう。
一番の理由はHOW to DESIGN, BUILD and TEST SMALL LIQUID-FUEL ROCKET ENGINESがその値を使ってるから。文献値が使えるんで強い。
実際はもっと低い値のほうがその後の配管とかのシステム的に色々楽な気がするけど、今回は2MPaでいくよ。

ちなみにだけど、燃焼室圧は基本的に高いほうがエンジンの性能が上がる。エンジンを小さくできたり、Ispが上がったり、燃料を節約できたり、とにかく利点が多い。詳細は後の記事でちゃんと解説するから安心してね。いつになるかは知らんけど
ただ前述したとおり、個人で比較的リーズナブルに構成できるシステムの限界が2MPaとかあたりなんだよね。800kPaくらいに設定するとかなり楽になると思う。そこらへんは自分が持ってるリソースとの相談になるよ。

燃料とフィードシステムの決定


次に燃料と酸化剤の組み合わせを決めよう。前回の記事でも言ったけど、この組み合わせと燃焼室圧でほぼ比推力が決まるんだ。

燃料と酸化剤の決定


比推力が高い組み合わせでよく使われるのが、液体水素(LH2)と液体酸素(LOX)。とにかくIspが高い。
しかもHとOしか元素がないから、燃焼の解析が比較的簡単で、とてもいい。

他にもいろいろな組み合わせが考案されて実用されてるんだけど、正直個人にとっては効率云々はあんま関係ない。
個人にとって一番重要なのはなんといっても入手性。実質ガソリンとかケロシンとかアルコールとかの炭化水素の一択になる。

今回は趣味でメタノールを採用するよ。エタノールのほうが燃焼熱大きいんだけど酒税かかるんでコスパでメタノール。ホントはもっと燃料の特性とか色々考慮して決めるのが正解なんだけど、正直何選んでもあんま変わらないと思う。

ここら辺のことに関する詳しい理論は後々解説するけど、正直個人には応用するには敷居が高すぎるんだよね。例えば燃焼温度とか理論上は計算できるんだけど、実際に計算するのはかなりきつい。化学に詳しくてそういうプログラムを扱うなり使えないと実質不可能だったりするんだ。

酸化剤は軒並み入手困難なんだけど液体酸素くらいなら何とかなる。てとこでLOXを採用するよ。
毒性ないし、最も一般的だからね。

フィードシステムの決定


さて、燃料と酸化剤がきまったら、それらをタンクからエンジンまで運ぶフィードシステムの方式を選択する必要がある。
フィードシステムには大きく分けて、

a) ターボポンプで送る方法 と
b) タンクを加圧して圧送する方法

の2つがあるんだけど、今回は後者を選択するよ。
前者は大型のエンジンなんかに使われてるんだけど、今回設計するようなサイズのエンジンだと圧送するほうがシステムの構成が楽になる。ポンプ高いし。

b)は燃料と酸化剤のタンクに圧力をかけてエンジンまで送る方式なんだけど、加圧するのに使うガスを決めないといけないね。
今回は入手性と安定性から、窒素ガスを選択するよ。実際のロケットでは軽くて安定って理由でヘリウムが使われるんだけど、高いから窒素にするよ。

燃料と酸化剤の流量の計算


何度も言うけど、燃料と酸化剤の組み合わせと燃焼室圧が決まったら、比推力が決まる。
欲しい推力が与えられてるから、おのずと燃料の質量流量が決定する。

Ispの計算


今決定してる情報ですでにIspは計算できるんだけど(ホントは混合比もいるけど)、解説は後に回して、今回は文献値を利用しよう。HOW to DESIGN, BUILD and TEST SMALL LIQUID-FUEL ROCKET ENGINESの8ページの表によると、

燃焼室圧 2 MPa、混合比1.25、で Isp が 238 sec になるらしい。

混合比に関しては今は置いておいて、とりあえず Isp がわかったよね。

プロペラントの流量の計算


Isp 238 sec で 500 N の推力を得るには、燃料プラス酸化剤の質量流量が大体 220 g/s 必要なのはわかるかな?\[ { I }_{ sp }\quad =\quad \frac { F }{ \dot { w } } \]
だったよね。F が推力、wドットが燃料+酸化剤(プロペラント)の重量流量。ってことは\[ \dot { m } \quad =\quad \frac { F }{ { g }_{ 0 }{ \quad I }_{ sp } } \]
になるよね。 g0 は地表での重力加速度。F、Isp に値を代入すればプロペラントの流量がわかるね。
ここで混合比なるパラメーターを紹介しよう。未来の記事で詳しく説明するから、ここでは定義だけ。\[\frac { O }{ F } \quad =\quad \frac { \dot { { m }_{ o } } }{ \dot { { m }_{ f } } } \]
moドットが酸化剤(Oxidizer)の質量流量、mfドットが燃料(fuel)の質量流量。

混合比が1.25だから、燃料、酸化剤の流量はそれぞれ計算できるよね?もう疲れたから自分でやってね。

まとめ


どうだったかな?ロケットエンジン設計の第一ステップってこんな感じなんだけど、なんか適当だと思わない?
実際ここまで適当にはやらないんだけど、趣味のものづくりなんてこんなもん。それに個人でロケットを作るってなると、理論だけ知っててもどうしようも無いことのほうが多いから、結局あんまり変わらないとおもう。

今回はしょった部分は次回以降詳細に解説していくつもりだから、その点は安心してほしい。
それより今ある知識で、ロケットエンジンがちょっとだけ完成に近づいた喜びを実感してほしかったんだ。

次回は比推力がプロペラントの組み合わせで決まることに関して、ちょっと踏み込んだ解説をしていくよ。

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